「いまさらアジャイル巡業 in Tokyo 2016」で講演
11/19(土)にアジャイルプロセス協議会が主催する「いまさらアジャイル巡業 in Tokyo 2016」が開催された。あいにくの雨だったが、40名近くの人が参加した。また、この日は会場が株式会社ドワンゴの会議室だったこともあり、ニコニコ生放送での同時配信も行った。ニコニコ生放送では300人を超える視聴者数があった。ウルシステムズもアジャイルプロセス協議会の運営委員なので本イベントの企画・運営に携わった。
1. 複雑さに挑む!カンバンによるプロジェクトマネジメント
最初はアトラシアンの長沢氏が、「複雑さに挑む!カンバンによるプロジェクトマネジメント」と題して講演を行った。興味深かったのは、タスクボードとカンバンの違いである。普段は曖昧にしがちだが、TODO/DOING/DONEと列を分けて進捗を見える化するものはタスクボードである。カンバンは作業毎のWIPを調整して、フロー全体の価値の生産を最適化する考え方である。これはTOCの考えを基にしている。長沢氏は、ソフトウェア開発にもカンバンを適用できる可能性を説いていた。
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2. 安心・安全な開発を目指して
二番目はNTTデータCCSの森氏が、「安心・安全な開発を目指して」という講演を行った。森氏が所属している部署ではアジャイル開発を専門的に行っているとのことで、その事例紹介である。紹介されるエピソードがどれも実践的で、本当に日頃からアジャイル開発を実践していることがわかった。
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3. Re:エンタープライズへのアジャイル開発の導入事例
三番目はウルシステムズの吉原から「Re:エンタープライズへのアジャイル開発の導入事例」という講演を行った。実際にアジャイルコーチとして、アジャイル開発を経験したことがないチームを立ち上げる事例紹介である。重要なことはアジャイル開発を頑張り過ぎないことである。そのため、沢山のプラクティスを適用するのではなく、3つのコアプラクティスだけに注力する。それ以外は従来の慣れ親しんだ手法で構わない。他にも幾つかのチームビルディングの手法を紹介した。
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4. アジャイルモデリング ~モデルと動くソフトウェアの狭間で~
四番目はウルシステムズの田上が「アジャイルモデリング ~ モデルと動くソフトウェアの狭間で ~」という講演を行った。アジャイル開発に関するイベントでモデリングがテーマになることは珍しいことである。アジャイルモデリングとはScott W. Ambler氏が提唱している俊敏なモデリングを実施していく上での、5つの価値、18の原則、21のプラクティスである。同名の本にもなっている。しかし心得に近く、そのまま実践できるものではない。田上は、Ambler氏のアジャイルモデリングの考え方を基にしながら、実際のプロジェクトに適用するための工夫を紹介した。
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講演するウルシステムズの田上
5. トークセッション
最後は、アジャイルプロセス協議会の水越会長とフェローの大槻氏、スピーカーからアトラシアンの長沢氏とウルシステムズの吉原がパネラーとして参加してトークセッションを行った。テーマはエンタープライズアジャイルである。パネラーからは、エンタープライズという言葉の定義が曖昧であるといった意見や、情報システム部門と業務部門が別れているといった日本特有の問題にまで話題が広がった。結論が出るテーマではないが、参加者にとって今回のイベントで聞き足りなかった内容を補うことができたことだろう。
左から吉原、長沢氏、大槻氏、水越氏
[吉原 庄三郎]