エンタープライズギークス (Enterprise Geeks)

企業システムの企画・開発に携わる技術者集団のブログです。開発言語やフレームワークなどアプリケーション開発に関する各種情報を発信しています。ウルシステムズのエンジニア有志が運営しています。

XP祭り2016でエンタープライズへのアジャイル開発の導入事例を講演

9/24(土)にXP祭り2016が早稲田大学西早稲田キャンパスで開催された。雨の中多くの方が参加していて、現在でもXPの熱量は冷めていないことを実感した。ウルシステムズの吉原の講演では、エンタープライズへのアジャイル開発の導入事例を紹介した。

今回のXP祭り2016では、マイクロソフトの牛尾氏のキーノートが全体の流れを作ったように思う。牛尾氏はメソッド屋のブログで率直な意見を発信されており、ご自身も認めるように炎上王子と呼ばれている。牛尾氏の主張はアジャイル開発を実践している人からみれば当たり前のことでも、それ以外の人からみれば荒唐無稽な挑発的な話に聞こえるのだろう。キーノートで牛尾氏はアジャイル開発を実践するには文化から変える必要があると主張されていた。

確かに文化を先に変える事ができればアジャイル開発の導入は容易になるだろう。しかし、文化を変えることがアジャイル開発の与件であるというのは考え過ぎではないだろうか。少なくとも全面的に文化を変える必要はない。ウルシステムズアジャイル推進室では出来るだけ従来のやり方を踏襲しながら、無理なくアジャイル開発を導入する方法をコーチングしている。

吉原からは、「エンタープライズへのアジャイル開発の導入事例 アジャイル開発で絶対に外せないコアプラクティス」と題して、アジャイルコーチの事例を紹介した。詳しくは次の講演資料を参照して頂きたい。

www.slideshare.net

エンタープライズアジャイル開発を導入するとき、プラクティスを詰め込むのではなく、最低限のコアプラクティスに絞って適用するのが効果的である。コアプラクティス以外は従来のやり方を踏襲して構わないので、導入先の組織の負担を小さくできる。また、早めにユーザーにアジャイル開発の価値を実感してもらうことで、開発チームのモチベーションを向上させて良いサイクルを作り出すことも重要になる。これらを実際の事例を基に講演した。

アジャイル開発を広める際に、過度に原理主義的になることで、現場の人間がついてこれなくなってしまう状況をときどきみかける。アジャイル開発とは本来は人間本位の手法だった筈だが、その本旨から外れるという矛盾が起きているように思う。その矛盾に対する1つのアプローチを提案させてもらった。

参加者からはたくさんの質問をいただいた。エンタープライズにおけるプロダクトオーナーの位置づけなどは関心が高いようである。多くの場合、エンタープライズでは、ユーザー(業務部門)と開発者(情シスや開発ベンダー)の距離が離れていることが、アジャイル開発導入の大きな阻害要因になるだろう。対策はプロダクトオーナー任せにするのではなく、プロダクトオーナーが要求を取りまとめすることを支援する体制を作るべきである。今回の事例ではアジャイルコーチや開発チームがプロダクトオーナーを支援した。

終わってからも反響が多くあり、沢山の刺激を頂けた。今後も機会をみつけて日頃実践していることを発信していきたい。

[吉原 庄三郎]