いまさらアジャイル巡業 in 広島
2016年3月12日に広島で「いまさらアジャイル巡業 in 広島」が開催された。
いまさらアジャイル巡業とは、アジャイルプロセス協議会が各地で行っている無料の勉強会である。松山、福岡、石川など全国各地で実施してきたが、今回はウルシステムズが企画・運営をして、広島で開催した。さらに協賛として、すくすくスクラム広島にも協力していただいた。
当日の開催告知
sukusuku-scrum-hiroshima.doorkeeper.jp
プログラム
当日のプログラムは次の通りである。
タイトル | 登壇者 |
---|---|
アジャイルをシミュレーションで理解する | 水越 明哉(アジャイルプロセス協議会) |
エンタープライズアジャイルがやってくる! | 吉原 庄三郎(ウルシステムズ) |
事例紹介(基幹系システムの再構築におけるDDD事例!) | 上司 和善(マツダ) 田上 悠樹(ウルシステムズ) |
以降、当日の様子をふりかえる。
セッション(1) アジャイルをシミュレーションで理解する
最初の登壇者は、アジャイルプロセス協議会会長の水越氏である。
www.slideshare.net
水越氏は、「アジャイルをシミュレーションで理解する」と題して、アジャイルプロセスの導入方法と各プラクティスの有効性について、シミュレーションを交えた解説を行った。
[水越氏の講演の様子]
中でも、タスクかんばんについてミニゲームを行い、仕掛(DOING)を減らすことがリリース価値を最大化することを体感できるように工夫していたのが印象的だった。
[ミニゲームの様子]
セッション(2) エンタープライズアジャイルがやってくる!
次に登壇したのはウルシステムズの吉原である。
www.slideshare.net
吉原は「エンタープライズアジャイルがやってくる!」として、自社で取り組んでいるエンタープライズアジャイルの概要を説明し、普通のアジャイル開発に比べて、エンタープライズアジャイルで注意すべき点として、以下の3つについて説明を行った。
- 要求分析の工夫
- 大規模開発
- 関係者が同じゴールを見る
[吉原の講演の様子]
参加者の関心も高かったようで、質疑応答も活発だった。「企業のシステム開発では予算を取るために見積もりが必要だが、エンタープライズアジャイルではどのようにするのか?」という質問に対しては、「予算の取り方は企業によって異なるが、アジャイル開発でもユーザーストーリーを最初に洗い出して、それを基に見積もることは可能だ」などと回答していた。
セッション(3) 基幹システムへの適用事例
最後のセッションに登壇したのは、マツダ株式会社の上司(かみつかさ)氏とウルシステムズの田上の2名である。
このセッションで紹介したのは、基幹システムの再構築にアジャイル開発を適用した実践的な事例である。ビジネスイベントが明確なプロジェクトではスコープ調整をする余地が少ないため、アジャイル開発手法のメリットだけでなく苦労もあった、というエピソードを紹介していた。
田上はアジャイル開発にDDDを導入することの利点と欠点について実例を踏まえた見解を説明した。DDDを適用した場合、ドメインが安定するまで初期投資をするデメリットがあるが、ドメインが安定してしまえばシステムを成長させやすくなる利点があるとのことである。DDDを大規模開発に適用した実例は珍しく、参加者にも好評であった。
www.slideshare.net
[上司氏の講演の様子] [田上の講演の様子]
当日、会場には30名近い方が来場された。
今回のセミナーは尖った、濃い内容の講義が多かったが、質問も活発で、もっと事例を聞きたい、課題や対処案を具体的に知りたいという声が多く、エンタープライズアジャイルへの興味や関心が高いことを感じた。
当日は、エンタープライズアジャイルに関する知見や事例を多くのエンジニアと共有することができた。今後もこのような活動を継続していきたい。
[吉井 弘明]